私は前の第2話に書いたように、なかなか正式な教員に採用されず5年ほど常勤講師をしていました。その後、ようやく採用になったわけですが、常勤講師時代の5年間と違って、採用になってからの5年間は、本当にハードな毎日でした。
大学時代の厳しい上下関係で鍛えられていたので、先輩教師に対して気を遣い、朝一番に学校に着くように心がけ、「できない」などという言葉はありませんでした。
そして、同じ「学校」という職場でも、常勤講師時代とはまるで違い、責任のある仕事をいきなり任せられたのです。「自分で何とかする」ということを母からも大学時代の先輩からも教え込まれてきたので、相談するということもなく、自分でなんとかこなす毎日。日々どんどんストレスが蓄積していったのです。それに加えて、自分の専門、フェンシング部の顧問としての仕事も多忙を極め、全国大会常連校でしたから、日々の練習はもちろん、休みとなれば県外へ遠征、試合、合宿と、プライベートな時間は全くありませんでした。
そのような状態だったので、同じように、中学の保健体育の教員だった夫(大学の同級生で埼玉からお婿さんに来てくれた)とは、すれ違いの日々になっていました。そして、私自身が勝手に、お婿さんだからという変な気遣いと、同居する母や祖母との間を取り持たないといけないという気持ちから、気づかぬうちにますますストレスを抱えてしまっていました。
そんな時、相談できる人が職場にできたのです。隣の席の8歳年下の講師の先生でした。どんな時もサポートしてくれ、どんどん急接近、付き合う流れに。毎日彼のアパートによって帰宅するようになっていました。心の底では、「夫に悪いなぁ、申し訳ないな・・・」という思いもありつつ、心は疲れ話を聞いてくれる人の元へ行く日々。「私の人生、もうどうでもいいや。こんなことしている私なんか」となげやりに、一時の恋愛の楽しさに溺れるような日々になっていったのです。
その様な状態でしたか当時、夫も母も勘づいていたと思います。そして私は「もう夫とは無理だ、このままの生活を続けることはできない」という思いがつのり、葛藤の中、離婚届を書いて欲しいと書類を渡そうとしたのです。しかし、夫は大激怒。当たり前です。刺されるかと思うくらいの強い言葉と感情をぶつけられたのですが、あまり感情を出さない人なので「感情を出してくれた!」と心のどこかで嬉しさを感じている私がいました。
その後お互いにどうすることもできず、時間がたつばかり。そのうち、「旦那さんとのけりが付くのを待ってる」と言っていたその彼の態度がおかしくなり、別れることになったのです。その時私は、理解ある年上の女性を演じて、円満にお別れしました。でも、実は、その時だけでした。
その後、「絶対女がいる!誰なんだ!(うすうすこの人じゃないかというのがあったのです)」と、彼の帰宅を待ったり、休日の動向を追ったりしたこともありました。そう、ストーカーの誕生。
結局、予想は的中し、その後結婚。相手は、一緒に温泉に行ったり、ジョギングしたりしていた仲良しの同僚の先生だったのです。あとあと、付き合っていたことを知っていたけど、私は既婚者で不倫、そんな相手より・・・という流れだったことを風の噂に聞きました。
結果としては、最高だったんです。今となっては本当に良かったと思います。私が人生に迷っていたということで、誰が悪いという訳ではないし、私の人生に嵐を起こして、気づきや転換を起こしてくれたのだからありがたい経験でした。
フラれた私は、夫への懺悔の気持ちともうどうしたらよいのかわからない、相手は友達だった・・・そのような状況、食事ができなくなり、1か月に6キロ痩せ、仕事があるからなんとか精神を保っているような状況でした。職場にその彼女がいるので朝会で必ず見かけるわけです。そして自分の担任する教室に向かうのですが、教卓に立って生徒の顔を見て涙が溢れてしまう、なんていう日も1か月くらいありました。その様な日々、もうどうなってもいいし、死んでしまいたいと、滝や海、川などに行っていたのを思い出します。今では笑い話です。
そして、ここでドラマ、小説のようなことが起こったのです。
そんな様子を見ていた母が「どうしたんだ」と声をかけてくれたのです。見守っていたけれど、あまりにも衰弱していく私を看かねて声を変えてくれたんだと思います。大好きな美輪明宏さんと江原啓之、国分太一さんがやっていた「オーラの泉」という番組を見ていたときでした。
不倫してフラれたこと、夫に離婚届を書言った言ったことなどを話しました。そうしたと言い言いにくいことを話してくれたからお母さんも言うけど、いつかお前に話さないといけないなと思っていたことがあるんだ。」と自分の、母は離婚した経緯など秘密二していたことを詳しく話してくれたのです。ここからは、お相手のこともあるので詳しくは書けませんが、実は母も同じような経験をしていたことが分かったのです。
「事実は小説より奇なる」いいますが、本当だなって思えた経験です。
この一連の経験を通して、大切なものが明確になったし、私を本当に愛してくれている人は誰なのか、どんな私でも受け止めてくれる人達は誰なのかもわかりました。そして、宇宙の法則、鏡の法則なども理解できたし、大好きだったスピリチュアルな世界を思い出せたし。ありがたいことに、器がとても大きく優しく温かい夫のお陰で、こんなことをしてしまったのにもかかわらず、今でも幸せに暮らせています。感謝しかありません。
人生、思いもよらないことが起こります。自分の今までの価値観や設定をガラリと書き換えるような出来事がいきなり起こることもあります。でもそれによって、大きな気づきを得て、さらに進化する、というか本来の自分を思い出して行くことができるんだと思います。失敗はなくて、ありがたい「経験」でしかない。全ては宇宙の、神様の愛の元に起きてるんだなとつくずく思います。
宇宙さん、ありがとう!
最後まで読んでくださってありがとうございます。